法术

制作事例の撮影


先日、これまで篠原紙工で制作した本の撮影をしました。
次々と私たちの手で作った本がモデル化し、まるで別物のようになってカメラの前で佇んでいました。撮影は今回で2回目。前回に撮影したのが今年の2月だったので数量はそんなにないかと思いきや、かき集めたらかなりの物量になり2日に及ぶ撮影となりました。

撮影される本たちは篠原紙工のディレクター達が選んだもの。その本を見て語れるようなストーリーがあるものたちが選ばれる基準。こんなにもストーリーのある本がここにあるとは日々どれだけのドラマが生み出されているのでしょうか。ディレクターたちの背後には制作現場のメンバーがいて、同じ本でも彼らにとっては、また別のささやかなストーリーがあるであろうに。でも誰にも語ることもなく、日々の制作に没頭しているうちに本人の記憶から薄れてしまうこともあるだろな。


篠原紙工の4Fにアートディレクター、デザイナー、カメラマンとアシスタントが集結してそれぞれが自分の役割をこなし、私たちもいつも通りに仕事をしていたのですが、その空気感は当然ながらいつもと違って、どことなく篠原紙工のメンバーが多忙極まりない時期! なのにちょっと心楽しそうな瞬間も垣間見れて、その姿を見れることが私にとっては創造の種になるので、この感じた空気を忘れないうちに言語化してメンバーと共有したいと思いました。

本、カレンダー、文具、紙のオブジェ、紙の電子書籍、積み上げられているユニークな本や物たちが改めて篠原紙工という会社の存在を具現化して見せてくれているような気がしました。そして、私たちは紙にまつわるプロダクト全般を作っている不思議な集団にも思えました。製本会社という言葉に間違いはないのだけど、製本会社というカテゴリーだとちょっと狭い?わたしの中では紙という素材をメインに篠原紙工という仕事をしている集団、という感覚があって。

しょっちゅう考える、なんとなくのビジョン。
もっといろんなことを削ぎ落として篠原紙工という仕事をする集団にしたいかな。
と、色々と考えながらも、日々小さな決断を重ねて今に集中するしかないから、
どんな未来かはわからないけど。


Photo:Masaki Ogawa

法术04