綴る

ことばのいぶき

今年の7月に新島さんが「はじまりの風 五十嵐威暢のことばのいぶき」を出してから数ヶ月が経ちました。STORES でも少しづつ反応があり、とても嬉しいです。

「人生のドアをノックしてください。ほんの少しの勇気が必要ですが、その価値は十分にあると思います。たくさんノックしてください。」という言葉からこの本は始まります。「人生のドア」と聞いてどんなことを思い浮かべるでしょうか。チャンス、やりたいこと、自分の可能性、場数を踏むこと、とか、どんなことに置き換えて解釈したとしてもそれでいい。この言葉を読んで考えた人の答えがその時の全てで、時がたてばまた変わるかもしれないし、正解も間違いもない。

こんなことを想像しました。
どんな人にも無数のドアが用意されていて、同じ形、色、大きさのドアが目の前にあって、もはやどれをノックしていいのかわからないくらいたくさんある。選ぶことに疲れて、適当にノックしたドア、開けてみたらいいことが待っていた。あっちも、こっちも、どんなに適当にノックしても結果はいい。

どのドアを選択したとしても間違いなどないならノックすることに飽きてしまうでしょう。もはや、勇気なんてものも必要ない、なぜならどれを選んでも結果は素晴らしいのだから。なんのためにこんな「人生のドア」がたくさん用意されているのだろうか、せっかくなら「勇気」という気力も人生で使って体験してみたい、そんなことも思い始めるかもしれません。

無数のドアが立ち並ぶ世界で、自分の在り方がどんなだかを決めてみる。私という人は「これだ」と思えるドアを選択することができる人である。自分にはその力が既にある。そうやって自分の内側に本気で向き合ったり問いかけることこそ勇気が必要なのではないか、と思う。内界にたくさんノックしてみると自然に開いたドアが目の前の外界に現れるかもしれない。そして、そういうドアは自分の想像を遥かに超える世界につながっているドアのような気がする。

 

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