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卒制図録の展示&学生だった頃

今、美術系の学生さん向けに篠原紙工で制作した過去の卒業制作図録の展示&相談会をやっています。(もちろん美術系の学生さんでなくても来ていただいてOKです。) ここ数年、毎年どこかしらの美術系大学の卒制図録を篠原紙工が制作させていただいておりますが、中には学生とは思えないくらいしっかり作品のコンセプトや世界観をつくって来られる方もいて驚いてしまいます。

本業の卒業制作で忙しくなる前に、各大学の卒制図録のチームの方々が早めに印刷製本、紙加工で何ができるかを知っていれば、よりスムーズで楽しい図録制作になるかと思い、篠原紙工のディレクションチームが企画をしました。展示といえども、大々的にやっているわけではなく、篠原紙工のオフィスの一角にコーナーをつくってお披露目しているので篠原紙工の会社見学も含めて気軽に来ていただければと思います。椅子に座って本を手に取り、メモを取るなり、写真を取るなり、ゆっくりしていただければ嬉しいです。

篠原紙工にいると美大の方々、現役生だったり、卒業生、講師…などなど関わることが多いです。私もその方面の学生だったので、時代は違えど、なんとなく美大の空気感というのは感覚でわかります。ただ、私は「デザイン」を学ぶ学生ではありませんでした。でも大学の中ではデザインを学ぶ子と仲良くしていました。当時からデザインの学生は生活の中の物に対して鋭い感覚を持っている人が多いと感じていました。一緒に街を歩いていても建物や選ぶ物、ポスター、見るもの全てを言語化するのが上手というか、この世にある物の形について自分なりの意見があったり、ロゴや企業のコンセプトに興味がある子が多く、デザインの学生は勉強の内容が社会とより直結しているなぁ、と思ったり。企業のことなんて考えもせずこの世にある物を「なんとなく」の寝ぼけた目で見ていた私にとっては、言われてみれば「なるほど」と思うことが多く、私自身も企業のつくる物や生活の身の回りにあるものをより細かく観察して考えるようになったのは彼らのおかげかもしれない、振り返ると思います。

篠原紙工に来る学生さんもほぼデザイン科の学生さん。大学3年、4年でプロの印刷会社の方々や製本の人たちと関わって図録本の制作をするなんて、すごい良い勉強になるだろうなと思います。学生のうちにどんなことでもいいから何かのプロの方と関わるって刺激になるし、その経験が自分に合っていたらその後の人生でも印象深く記憶に残るのではないかな。でも、過去の自分 (大学生だった頃の自分) だったら図録班チームとかには絶対にならなかっただろうなと想像することも、よぎるのです。当時の私は学科内にしっかりした人達がいるとその人たちに任せっぱなし、単純に学科の図録作りに興味がなかったのでしょう。就職のことも考えず、ボーッとのんびりした学生をしていました。篠原紙工にいらっしゃる学生さんは優秀で、いろんな会話が飛び交うデスクを見ると、いつも過去の自分が心の中にひょっこり顔を出してきて、ひとこと、なにもしてなかったなぁ、自分。

でもね、図録とかチームでつくる人ではないけど、この展示なんか興味ある、写真集好き、本が好き、紙媒体でなにか表現したい、もしくは卒業制作のメインは「本」なんだけど、プロの手でつくってもらいたい、そのために篠原紙工のオフィス覗いてみたい、なんなら相談も、大きな目的とかないけど製本ってどんなことするんだろう、とかとか、過去の私のように、気づいたらいつの間にか一人で動く羽目になってしまうマイペースな学生の方々も大歓迎です。もちろんそれ以外も。


他のお客さんとの打ち合わせなどが重ならないためにも事前に連絡いただけると幸いです。
-申し込み方法-
info@s-shiko.co.jp 宛に
件名を「卒業制作展図録展示申し込み」として
本文にお名前、連絡先、希望日時、大学名、学部名、訪問人数を記載して送ってください。担当者が折り返しご連絡いたしますね。お気軽に連絡を!

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