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篠原紙工図書室

新しいことのお知らせです。2025年の1月25日に「篠原紙工図書室」という新しい場所を開きます。篠原紙工図書室はその名前の通り、篠原紙工でつくられた本が所蔵されていて、どなたでもご自由に手に取っていただくことができる空間です。

この10年近くで篠原紙工の仕事は徐々に仕様が複雑なものやデザイン的にひとひねりしているものなどが増えました。依頼背景もさまざまで、篠原紙工には個性あふれるおもしろい方々がますます集まるようになったと感じています。制作させていただいた本は篠原紙工の制作事例として、社内で保管しておくのですが、オフィスの本棚もお客さんの数と比例するかのように個性あふれる本が増えていきました。

打ち合わせの際、ユニークな仕様の本を手にするお客さんの様子はとても楽しそうで、帰り際に「篠原紙工さんにある本を全部見るには時間が足りないですね」とか「(本棚を見て)ずっと見ていられそう」と、ささやいていかれる方はとても多く、そんな声を拾うたびに「自由に本が閲覧できるショールーム的な空間が会社にあるといいかも…」と思うと同時に篠原紙工でつくった本たちが社内の本棚だけで眠るのではなく、日頃からオープンにして人に見てもらうことで、次の誰かの創造の源になって小さな循環ができたら理想的だな、と新しいこともぼんやりと考えるようになりました。この声がいつの間に宇宙に届いたのでしょうか、この度、現実化の機会にめぐまれました。

篠原紙工は建物の1、2、4階と3フロアを借りています。お客さんとの「はじめまして」の打ち合わせはオフィスのある4階から始まります。頭を使い、お客さんの想いや背景を言語化して製本の設計や制作の流れを考えます。仕様が決まると1、2階の機械と手を動かして、実際の本の形へとつくり上げていきます。無事に納品までしたら仕事は一区切り。完成された物は4階の本棚へと入る、だいぶ省略しての説明ですが、これが一連の流れでした。これからは、完成したら図書室に本を所蔵、展示することによって、多くの人に本を見てもらう機会を増やし、新たな創造性を広げられるような環境、空間を図書室でつくっていけたら良いなと思っております。

少々余談にはなってしまいますが、図書室は元々の篠原紙工1階の床を掘って空間を1段下げているので地上(道路) に面しております。英語のグラウンドフロア(ground floor) 日本語で0階とでも表現しましょうか。聞きなれないかもしれませんが、私たちの間では図書室の階数をグラウンドフロアと呼んでいます。その0階ではまだ形なき無(アイデア、〇〇したい、希望願望)の段階から始まり、そのぼんやりしたものを4階で言葉にし、打ち合わせをし、それが想いとなり、それを元に今度は1、2階で手を動かし、形をつくり、本という物質になる。完成品は再び0階の図書室へ、物としては残っていますが、所蔵されることで一旦、新たな無になると考えてみる。この筋も何もないチグハグな考えが通用するかは別として、言葉にするのもまだ一苦労してしまうのですが、篠原紙工図書室という新しい小さな宇宙の物語をつくっていきます。

篠原紙工図書室
江東区大島5-51-13 ground floor
木 金 土 13:00-18:00 (入室無料)




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