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たかがパンフレット、されどパンフレット
美大生が篠原紙工に来て卒業制作の図録の打ち合わせで賑やかになるシーズンがあります。学生さんのアイデアや希望を元に篠原紙工からの提案も混ざり、毎回話し合いはとても楽しそうに賑わっています。図録だけではなく、展示のパンフレットも含めて紙の制作物を担当させていただきました。
今回ご紹介するのは2021年多摩美術大学グラフィックデザイン学科の卒業展示会のパンフレット。パンフレットというと、頭に思い浮かぶのは四角や冊子が多いのではないでしょうか。
しかし、今回学生さん達と一緒に考え出した答えは丸いかたち。
イベント配布の紙もの制作において大切なことは、会場の中でのその物の存在感と、パンフレットを通してどういったシーンを作り出すことができるか、と考えること。今回の案件は美術大学の卒業制作展示、おそらく隅々までデザインされた環境で、来場者はデザインやアートというワードを共通に集まる様々な世代の人たち。四角ではなく、大きな丸い紙を広げて会場を歩く人々の様子を想像すると、そのパンフレットによって最後に展示空間自体もアートになると思いました。ペラ1枚の紙でも折り方や加工次第で表現はいくらでも広がります。この提案に学生たちのデザイン力が加わり、イベントの内容を引き立てるパンフレットが仕上がったと感じています。
担当 / この文を書いた人 : 篠原慶丞